「四畳半神話大系」読んだ感想

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どーも、管理人のうつやまです。

今回は最近読み終わった(といっても去年だが)本、
四畳半神話大系」についての感想記事をお送りする。
作者は森見登美彦。ノイタミナでアニメ化もされた人気作品だ。

 

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どんな本か?

舞台は京都
京都大学三回生の”私”が主人公。

四話構成。
一回生のサークル勧誘の時に提示される四つの選択肢。
それぞれの選択肢を選んだ場合どうなったかという、
パラレルワールドがベースになっている。

どの選択肢を選んだ場合でも小津と出会い、
最終的に明石さんと付き合う事になるので結果は変わらないのだが_。
第四話で驚くべき仕掛けが用意されている。

とにかくこの作品にはクセのある魅力的な登場人物
リアルに頭の中に浮かぶ京都の町並み、面白おかしいアイテムに満ち溢れている。
これが森見登美彦ワールドか。他の作品も読みたくなる。
(以下からネタバレ含んでいるので注意)

 




本文の引用と個人的解釈

P.150
可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である。

樋口師匠の言葉。この言葉はこの作品全体に投げかけているメタ的な要素がある。
”私”は各話で選択肢ごとの可能性を直に体験するわけだが、
我々という存在を規定するのは、可能性ではなく不可能性であると言っている。
一種の警告に近いものが感じられる。

 

P.151
「我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てにならないものに望みを託すことが諸悪の根元だ。今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはいけない。〜」

これも樋口師匠の言葉の続き。
我々は生きていくうえで「あの時ああしていればもしかしたら〜」
などと考える事がよくある。
しかし、樋口師匠の言葉はそういった考えそのものを否定している。

そして「今ここにある君以外、ほかの何者にもなれない自分を認めなくてはいけない」
これは来る四話の展開を示唆しているようだ。
普段のらりくらりとしている掴みどころのない師匠の、師匠らしい一面が出ている言葉だ。

 

P.312
七畳やら八畳やら十畳やらの部屋に住む人間は、本当にそれだけの空間を我が物として支配するに足る人間なのであろうか。部屋の隅々まで、己の掌のごとく把握できているのか。

四畳半くらいがちょうどいいと考える”私”。
広い部屋に憧れる人は多い。管理人も出来る限り広い部屋に住みたいと常々思っている。
しかし本当に広い家に住めたとして、隅々まで把握出来るのか。
自分の部屋なのに隅々まで把握出来てないのもどうなんだろう。

こんな事考えたって仕方ないといえばそれまでなのだが、ふいに考えてしまう一文。

 

P.334
いつでもその気になれば外へ出ることができるからこそ、私は出なかったのである。

四話で無限の四畳半に閉じ込められた”私”。

この文章は引きこもりにグサっと来る
管理人も引きこもりがちな生活を送っているが、もし全く外に出れなくなったとしたら…?
必ず「外に出たい」と思うだろう。

 

P.364
私は孤独ではなかったのだ。今の私に比べれば、あの頃の私はちっとも孤独ではなかった。

これも四畳半に閉じ込められた”私”の言葉。
本当の孤独。ただ四畳半が続いているだけの孤独な世界。想像しただけで狂いそうになる。
憎たらしい小津ですら恋しくなってくる世界。
四畳半世界に閉じ込められてからの”私”が孤独に耐える様が痛ましい。

 

P.374
ほんの些細な決断の違いで私の運命は変わる。日々私は無数の決断を繰り返すのだから、無数の異なる運命が生まれる。無数の私が生まれる。無数の四畳半が生まれる。

これが四畳半世界の真理。
少しずつ違う四畳半が無数にある。それは”私”による選択の結果生まれたものだ。

パラレルワールド
パラレルワールド自体はありがちな設定だが、
それを四畳半という独特な世界で表現されているのが、この作品の魅力の一つだ。

 

P.375
人類最後の一人に、果たして生きている意味があるのか。

人類最後。即ち完全なる孤独。
一見魅力的に見えなくもないが、本当の孤独。
人は決して本当の孤独には耐えられないだろう。

 

全体の感想

とにかく登場人物が個性豊かで、文章が面白おかしい。
小津は正直憎たらしいのだが、憎みきれないどころか少し好きになってくる不思議。
第三話での文通相手の正体は薄々感づいていたけど、分かった時には笑ってしまった。

黒髪の美少女でありながら蛾が苦手で風変わりな明石さん
掴みどころのない樋口師匠、酔ったら顔を舐めてくる羽貫さん
ラブドールの香織さんをこよなく愛する好青年な城ヶ崎先輩などなど。

三話まではそんな面白おかしい感じでそのまま終わると思っていたのだが、
四話でのまさかの四畳半ワールド。
これが森見登美彦の世界観か。現実を舞台にしたファンタジー
ハマりそう。他の作品も読みたい。

 

軽く聖地巡礼してみた。

年末に京都に行ったついでに軽く聖地巡礼をしてきた。
猫ラーメンのモデルになったラーメン屋さんも行ってみたかったのだが、
何ヶ月か前に閉店してしまったとのこと。残念無念。

京都大学のある出町柳のあたりは少し行きづらいので(河原町から京阪)、
観光客もそんなに多くなく、のんびりと散歩することが出来た。

 

賀茂大橋

 

出町柳駅すぐそこ、鴨川に架かる賀茂大橋
小津が鴨川に落ちたり、戦略的代理代理戦争の決闘の舞台にもなった重要スポット。

しかしこの橋から落ちたら普通に骨折じゃ済まないと思う。
鴨川結構浅いし。小津の生命力よ。

 

鴨川デルタ

 

こちらも何度も登場する鴨川デルタ
両脇には石があって渡れるようになっているのだが、
間隔が広いので落ちないよう注意が必要。
酔っ払って落ちる奴とかいそうだな…。

この飛び石は「けいおん!」のアニメOPの聖地でもある。

ちなみに作中でも幾度となく大学生の飲み会会場となっていたが、
管理人が見た時も大学生っぽい集団が集まって何かやっていた。
京大生こわい。

 

下鴨神社

 

近いのでそのまま下鴨神社にも行った。
小説を読んだだけでアニメは見てないので
「アニメのあのシーンだ!」みたいな楽しみ方は出来なかったが。
でも落ち着いていてすごくいいところだった。

下鴨神社の前に糺の森を通り抜けるのだが、そこもすごくいい雰囲気だった。
パワースポット的な。お参りするところが干支で分かれてて面白かった。

 

最後に

そんなわけで森見登美彦ワールドにすっかりハマってしまった。
次読むなら「夜は短し歩けよ乙女」かな。登場人物被ってるし。
有頂天家族」も気になるからそのうち読みたい。

 

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結論、「四畳半神話大系」は当初思ってたよりかなり楽しめた。
アニメもちゃんと見たいところ。
一風変わったパラレルワールドが楽しい。適度にゆるい雰囲気もいい。オススメだ。

 

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