伊豆諸島といえば伊豆大島が有名だが、利島、新島、式根島、神津島など色々ある。
そんな伊豆諸島の最西端、神津島(こうづしま)。神の集いし島という逸話もあり、かつては神集島と表記されていたとか。
ひょんな事から冬の神津島に行ってきたのでそのレポート。
概要
2泊3日の旅。1日目は民宿、2日目はキャンプ。移動は行きも帰りも東京港(竹芝ふ頭)から出ているさるびあ丸。
では、以下で旅の経過を振り返っていく。
移動
浜松町の竹芝ふ頭から船で約12時間。席は特2等寝台。硬かった(キャンプ用のマットを敷いたら楽になった)。
電波も入らないし、寝たりKindle Paperwhiteで読書したりしながら過ごす。
近くに轟音いびきおじさんがいてあまり寝付けなかったが。普通のいびきがサイレントに思えるほどの轟音っぷりだった。

朝になってから一度デッキに出たらなかなか良い眺めだった。一面の海。良き。
1日目

船が港に到着し、まずは民宿へ。
民宿のおばちゃんと入れ違いになってしまったらしく、休憩がてらのんびり待つ。
Kindle Paperwhiteで読書したり。最強の暇つぶし端末。

それからよっちゃーれセンター2Fの食堂で定食を食べる。
残念ながら刺し身定食と漬け丼は無かったが(ここ数日不漁との事だった)、
煮魚定食を食べる。美味しかった。
伊豆諸島名産の明日葉が独特な風味。個人的に結構好き。
腹ごしらえも済ませ、島の散歩へ。
目的地は赤崎遊歩道。事前に調べたら海が綺麗だったので見てみたかったから。
前浜から歩くとかなり遠い。
でも島の景色を眺めながらのんびり歩いたので楽しかった。
”うず巻き岩”と呼ばれる流紋岩が印象的だった。
山方面の切り立った崖も凄い。
そしてようやく辿り着いた赤崎遊歩道。何と閉鎖されていた…。
2018年10月〜2019年3月まで工事だとか。何てタイミングの悪さだ!
長浜まで戻ってバスを待ちながら海を見て黄昏れる。静かな世界。
浜辺に転がっている石の魅力に気付く。大小色とりどり…。
火山ベースな島なのもあって、石も特徴的。な気がする。
専門的な事は何も分からないが。
綺麗だけど、長浜の石は持ち帰ると罰が当たるとのこと。写真にとどめた。
村営バスに乗ると、運転手のおっちゃんと
島の漁師っぽいおっちゃん達が雑談していたが、結構訛りが強いと感じた。
一応東京都だけど、まあ離島だもんな。
そんな感じで民宿に戻りつつ、風呂入ったり飯食ったり。
(ご飯盛りだくさんで嬉しい悲鳴。腹がはちきれそうだった)
食後ははちきれそうなお腹を休めつつ、こたつでKindle。
アウトドア漫画を読み漁る。これが幸せってやつか。
”ゆるキャン”とか”山と食欲と私”とか”ヤマノススメ”とか読んだ。どれも最高。
2日目

朝から天上山登山。
標高だけ見ると高尾山レベルのライトな山なのだが、
島の最高峰だけあって迫力がある見た目。ラスボスの風格が漂う山。
民宿のおばちゃんのご厚意に甘え、黒島登山口まで車で送ってもらう。
そのおかげもあって、割とあっさりと10合目までたどり着く。
上りは背の高い植物が少なく、見晴らしが良いのでモチベもぐんぐん上がった。
あとほぼ階段だったので比較的楽だった。

10合目に辿り着いてからが本番。
台地になっているので、山頂部分がとにかく広い。THE火山。
最初は千代池へ。
涸れていた。
恐らく雨季には水がたくさん溜まって池になるのだろう…。
コケパラダイス。
表砂漠
砂漠があった。ここは山の上のはずなのに。ものすごく不思議な感覚。
チェアとテーブルが設置してあるのがミスマッチすぎてシュールだった。
裏砂漠
これまた砂漠。表砂漠とはまた趣が違う。ここは山の上か?と疑いたくなる。
あと裏砂漠展望地がすごいところだった。岩の下は断崖絶壁。
危険だから崖の方には近寄るなと書いてあった。
で、ここからの展望が最高。
祇苗島が一望出来、先の方には三宅島らしき影。
左の方には新島と式根島も一望出来る。
ベンチもあるのでちょっと休憩するにもよし。
相方の用事(?)の為、ここで20分くらい過ごすことに。
いいところなんだけど、本当にいいところなんだけど…。
風がとても強かったので、20分じっとしてるのはさすがに寒い。
震えながら行動食のチーズかまぼこを貪り食った。

別ルートで表砂漠に戻るも、膀胱がピンチだったのもあり
最高地点は敢えて行かずに、白島登山口方面へ下山。
(「また来るからな!その時は最高地点も訪れるからな!」と決意)
下山もほぼほぼ階段だったので比較的楽。

膀胱と戦いながら無事白島登山口へ到着。
登山口のところにはトイレがある親切仕様。
人としての尊厳を失う事なく無事用を足す。
(携帯トイレの必要性を思い知った)
そこから更に下山ルートを進む。
だいぶ趣も変わり、木が生い茂っていた(椿も生えていた)。
スギっぽいのもあった。花粉症っぽい症状が出ていのはまさかお前の仕業か。
途中から道が石段に。油断するとツルッといくやつ。
個人的に超苦手。滑りにくい登山靴履いてて良かった。

無事転ぶ事なく山道を抜け、
ご厚意で荷物を置かせてもらってた民宿から荷物を回収し、
まっちゃーれセンター(観光協会)へ。
キャンプの申請書を提出する為だ。
神津島のキャンプは申請が必要だが、費用は無料。
炊事場併設。炊事場以外では火気厳禁。
キャンプ場は沢尻湾、長浜湾、多幸湾と3つある。
今回は船の来る前浜湾や温泉から一番近い、沢尻湾キャンプ場を選択。
島のタクシーで移動(運転手のおじさんめちゃくちゃいい人だった)。
で、キャンプ場到着。誰もいない。まさかの貸切状態。土曜日なのに。
いくらシーズンオフだからって誰もいないとは。すげえ。
そんなわけで綺麗な海の景色を独占する権利を得たのである。
テント設営はサクサクっと。
海はちょうど夕暮れ時で優しい色に包まれていた。太陽が沈む過程も見届けた。
これが一日の終わりか。サンセットビーチ。
日が暮れてから歩いて温泉保養センターへ。途中のトンネルがなかなか雰囲気あった。
温泉はしょっぱかった(飲んだわけではない)。
夏は海を見ながら楽しむ大露天風呂もあるのだが(水着着用)、
残念ながら冬の時期はやっておらず。内湯のみ。
登山で疲れた身体に気泡風呂が染み渡った。ジャグジーみたいにボコボコしてるやつ。
再びキャンプ場に戻り、ぼーっとしたり。
最初は曇ってたんだが、徐々に晴れてきて一面の星空。
これぞ天然プラネタリウム。圧巻。
夜空の写真を撮ろうと格闘してみるも、結局相方に全て任せた。
任せた結果、いい写真が。肉眼で見るより遥かに多く星が写っている。
そんな星の煌めく夜空の下、アウトドアチェアに座りトリスハイボールを飲む。
BGMは波の音。最高か。贅の限りを尽くしている。
ひととおり満喫してから就寝…しようとするも、風の音が強くてなかなか寝付けず。
まるで嵐の中にいるような気分だった。怖さとちょっぴりの楽しさと。
フライが飛んでいかないか不安になったりしたが、そんな事はなかった。
ペグって偉大。
テントのフライがやたらはためいてバサバサいうなと思って翌日見てみたら、
固定するべき所固定してなかった。そりゃはためくわ。
あと小さいブランケットと2,000円の寝袋だけじゃ結構寒かった。
ホッカイロ5個くらい使って寒さを凌いだ。ホッカイロのありがたみを実感。
次この気温でキャンプするならもう少しちゃんとした毛布を持っていこう。
秘密結社ブランケット…。
3日目
最終日。起きて軽い腹ごしらえをしつつ、撤収。
適当におみやげ屋見つつ海を眺めたりして船の時間を待つ。
浜辺では柴犬が散歩してた。かわいい。
そうして帰りの船に乗り込んだ。約9時間。各島と横浜港経由。
寝台でも和室でも個室でもなく普通の座席だったのだが、
リクライニングシートでスペースも広かったので、思ったより快適だった。
長時間の船だけど大型客船でほとんど揺れないし、わりかし良い。
前日の寝不足もあり、ほとんど爆睡して過ごす。
起きてからは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読んだり。
旅の終わりにふさわしい本ではないだろうか。
旅の終わりはいつもノスタルジックになる(始まりもそうだが)。
日常と非日常の境界。現実が思い出に変わってしまう時間。
この旅で何を得たのか具体的には分からないが。
人生とは数々の出会いと別れを繰り返すものだ。
出会いの形は人、景色、物語など、様々。
そんな事を繰り返しながら人は成長していくのかもしれない。
そして人生が豊かになっていくのだろう。
その他
その他細かい気付いた事。
松がいっぱいある
島の至るところに松が植わっていた。
なんなら山の上にもそれらしき物があった。松すごい。
多幸湾も行きたかった
今回は島半分しか見てないので、いつかまた行く時は多幸湾方面行きたい。
意外と広い神津島。というか、いつかダイビングしたい。
興味あるけど怖いからって敬遠してたけど、まあなるようになれってやつだ。
坂が多い
村落から急坂だらけだった。レンタサイクルあるけど自転車は厳しいと思う。
せいぜい海岸沿いの神津本道走るのが精一杯だろう。
ちなみに信号は島に1つだけ。
本当は必要ないんだけど、子どもたちの教育の為に設置してるらしい。
ネックレスなくした
1日目の終わり、気付いたら付けてたはずのネックレスがなかった。
ちぎれた鎖だけ見つけた。知らぬ間にちぎれてどこかに落ちてしまったらしい。
お気に入りだったのでショック。
悲しいけど、これも何か意味があることなのかもしれない。
スピリチュアル的な事をそこまで信奉しているわけではないが。
なんなら島にお供えした、程度のポジティブシンキングでいこう。
最後に
2泊3日満喫してきた神津島。特にキャンパー目線で超穴場だと思う。
2月でも全然キャンプ出来る気温。
焚き火出来ないのが少し辛いが、近くに炊事場とかあるし。
しかもこの時期ガラッガラ。まさか貸切状態になるとは思ってなかった。
小笠原などキャンプ禁止の島も多い中、3つもキャンプ場があるのも強い。
どのキャンプ場も綺麗な海が一望出来る。
山、海、空。自然から力強いエネルギーを貰った、そんな2泊3日だった。
人間はちっぽけな存在だ。私もとても小さな存在だ。
しかしちっぽけながら確実に存在している。広大な自然の礎の一つでありたい。
上手く言えないけど、それが自然と共生するって事なのかもしれない。
やっぱり島が大好きだ。開放感がある。空が広い。自然との距離が近い。
神津島もまた行きたいし、神津島以外の離島も行ってみたい。
ぱっと思いつくのは沖縄八重山諸島、屋久島、種子島。小笠原もいいね。
あとサイエンス分野に興味が出てしまったので、
ぼちぼち地質とか地層、石の本とか読んでみようかなと思う。
登山のおかげで植物にも興味が出た。これも本読みたい。
この世界には、まだ私の知らないワクワクする事がいっぱいなんだ。
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