ブルック・ニューマン作、五木寛之訳の小説『リトルターン』の感想記事です。
小説…というよりは大人の絵本といった方が正しいかもしれない。
文章も非常に短く、全てのページに淡い水彩画が挿入されています。
何年も前に母親から借りて読んだ本なんですが、お気に入りの一冊になってしまった。
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簡単なあらすじ
これは”飛べなくなったコアジサシ”の物語。
アジサシというと普段馴染みがない鳥ですが、一応カモメの仲間みたいですね。
本来ホバリング(低空飛行)などを得意とし、海の上を飛び回る鳥。
だが、この物語の主人公のコアジサシは、理由も分からず飛べなくなってしまった。
一体なぜ飛べなくなってしまったのか。
何を失ったのか。
それを探し求める冒険の物語。
冒険といってもドキドキワクワクするようなものではない。全体的に静かです。
コアジサシが出会うのは、夜空の星、紫色の花、蝶、
そしてゴースト・クラブと奇妙なものばかり。
陸で様々な物と出会いつつも、自分の内に問いかけていくような。
何かで挫折して立ち止まってしまった人が読むべき本だなと感じました。
感想
個人的にとても好きな本です。
今んとこ生涯で印象的な本ベスト5には入ってるくらい。
自分を見失いそうになった時に何度か読み返しています。
元気になる、というよりはじんわりと癒やしてくれる感じでしょうか。
身の回りに落ち込んでる人、悩んでる人がいたら読んで欲しい本かな。
装丁が綺麗だし誰かにプレゼントしてみるのもいいかもしれない。
”大人の絵本”といっても、内容自体は易しいものではないと思う。
平易な文章でありながらも、どこか哲学的な内容。
「普通とか普通でないとかいう見方にとらわれている限り、普通でないものは普通じゃないんだ」
「もし求める気持ちを自分の心から追い出してしまったら、その時は自分が求めるものを手にするのは、とんでもなく困難になるだろうと。」
難解ながらも、読んでてハッとする言い回しが多い。
そんな不思議な本です。
前述の通り「何かで挫折した」「辛いことがあった」
そんな理由で立ち止まってしまった人に是非読んでほしい本です。
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