映画「レ・ミゼラブル」の感想。壮大な愛がテーマのミュージカル映画。

 

どーも、管理人のうつやまです。

今回は映画「レ・ミゼラブル」の感想。
何度も映画化されているが、ここで書くのは2012年に公開されたミュージカル調のもの。
以前も感想記事書いたんだけど、改めて書き直すことにした。

 

とても大好きな映画の一つ。もう何度も見ている。その度に泣く。
パンを盗んで20年間服役した男の、その後の人生の物語。

原作はヴィクトル・ユーゴーによる小説。
それがミュージカル化され、更に映画化されたのが本作。
(映画化は何度もされているが、ミュージカルをもとに作られた物はこの作品が初?)

管理人は原作小説は読んだ事あるが(それこそ何回も読んだ)、
ミュージカルは見た事がない。




ミュージカル

繰り返しになるが、この映画はミュージカルをもとに作られている。
そのため、ほぼ全てが歌だ。セリフは本当に少ししかない。
この形式が苦手な人もいるかもしれない。ここは完全に好みによる。

どのシーンも見応えがあり、シーンごとの盛り上がりやクライマックスが用意されている。
個人的に印象的だったシーンを振り返っていこうと思う。
良いシーンがありすぎてかなり長くなるが、ブログは文字制限とかないからね。

 

司教との出会い

 

最初のクライマックスは、ジャン・ヴァルジャンが司教に諭され
これまでの人生を捨て去り、生まれ変わる決意をするところ。

20年の囚人生活により、彼の魂は腐りきっていた。
手を差し伸べてくれた親切な司教から銀の食器を盗むほどには。
しかし、司教は彼の罪を赦したどころか、銀の燭台まで与えるのだ。

ジャン・ヴァルジャンにとって司教はまさに””のような存在だっただろう。
司教からの慈愛という形で、初めて愛情というものを知ったわけだ。

「ジャン・ヴァルジャンは死んだ!俺は生まれ変わるのだ!」
序盤からヒュー・ジャックマンの熱演が光る。

 

ファンティーヌ

 

舞台はジャン・ヴァルジャンがマドレーヌとして生まれ変わり、
立派な市長になったモントルイユに移り変わる。
ここで主に語られるのは、希望に溢れた世界から地獄に叩き落とされた一人の女の一生。
その名はファンティーヌ

まさに若気の至りというやつなのだが、若く美しいファンティーヌは男と恋に落ちる。
一人の女の子をもうけるが、それを知った男は姿を消す。
これが彼女の不幸の始まり。そこからは映画で語られるように、地獄へ一直線だ。

工場長にクビにされた件は、本来ならマドレーヌ市長が許さなかっただろう。
しかしこのトラブルの最中、市長さんはそれどころではなかった。
囚人時代の彼を知る警官ジャヴェールとの再会。

そんなわけでファンティーヌの処遇は悪徳工場長に一任されたわけだが、
当然アバズレ扱いされてクビにされる。ことごとく不幸な女である。

仕事を失った彼女は、娘の仕送りの為に髪と歯を売り、
とうとう娼婦になって自分の身体まで売ることになる。

ここで印象的なシーン、ファンティーヌの「夢やぶれて
かつて楽園のような生活を夢見ていた彼女だが、その夢はもう叶わない。
地獄のような現実。本当にかわいそうな女である。

ファンティーヌ役のアン・ハサウェイの歌唱力・演技力が素晴らしい。
最近だとオーシャンズ8で美人女泥棒を演じている彼女だが、
レ・ミゼラブルでの彼女はひたすらに惨めな女だ。女優ってすごい。

結局全てを知った市長に保護されることになるが、彼女は娘に会えないまま死ぬ。
彼女を看取った市長は、ファンティーヌの娘コゼットを引き取る事を決意するのだ。

 

宿屋

 

ついにファンティーヌの娘、コゼット登場。
宿屋に預けられた彼女は奴隷のようにこき使われていた。
宿屋はとにかく下品。この乱痴気騒ぎっぷりよ。撮影めちゃくちゃ楽しそう。
全体的に陰鬱な雰囲気の漂うこの作品で、唯一陽気なシーンといってもいい。下品だけど。

ファンティーヌがなぜこんなところに娘を預けたのかは映画内で語られていない。
これは原作小説で語られている。
仕事を探す為に娘の預かり先を探していたファンティーヌ。
たまたま通りかかった時のテナルディエ親子がとても神々しく見えた、という理由だ。

テナルディエのおかみさんはまあ極悪人なのだが、
愛娘エポニーヌへの愛情は確かだった。少なくとも幼少期は。
まあよく知りもしない人間に娘を預けるファンティーヌも軽率だったんだが、
それだけ切羽詰まっていたのだろう。孤独だったし。

 

芽生える愛情

 

ひどい宿屋で奴隷扱いされていたコゼットだが…。
そこに突如現れたジャン・ヴァルジャンがコゼットを引き取る。
コゼットにとっては白馬の王子様のような存在だっただろう。

そしてコゼットと過ごすジャン・ヴァルジャンは父性に目覚める。
それは彼にとって初めて生まれた感情、だった。

 

ジャヴェールの正義

 

パリでの逃走劇。とうとうジャン・ヴァルジャン達はパリにやって来る。
そこではジャヴェールによる検問が待ち受けていた。
何とか逃亡したジャン・ヴァルジャン達は修道院にたどり着いた。

取り逃がした後のジャヴェールの歌のシーンはかなり印象的。
彼は彼で決して悪い人間ではない。己の信じる正義、神に従っているだけ。
それにしてもラッセル・クロウの歌声めちゃくちゃいいな。

 

1832年パリ

 

更に9年の月日が流れる。舞台はパリ
ここから一気に登場人物が出揃ってくる。ストーリーは革命運動へと向かう。

 

ガヴローシュ

 

まず自由な少年ガヴローシュ登場。
実はテナルディエ夫婦の息子であり、エポニーヌの弟だったりする。
しかし愛情は受けなかった少年。そのかわり彼には自由があった。

個人的にこの作品でかなり好きな人物だ。一番好きかもしれない。
愛情を受けない代わりに自由奔放だった彼は、気ままにパリの街を謳歌していた。
自由な彼は死をも恐れない。革命の時も常に前向きだった。

革命軍の為に死んだ兵士から弾をかき集めようとして撃たれ、死んだ彼。
その魂は最後まで自由だったように思う。

 

マリウスとコゼット

 

マリウス君もここで登場。革命を計画する金持ち坊ちゃんの一人。

コゼットも成長。不幸な小娘からかなりの美人さんになる。
この作品においての彼女は、暗雲に立ち込める一筋の光のよう。

そんなコゼットと一瞬目が合っただけで恋に落ちるマリウスだが、
実は原作では、かなり長い期間公園での無言のラブロマンスが行われていたりする。
一目惚れなのは変わらないけどね。

 

エポニーヌ

 

幼少期は両親の寵愛を受けていたエポニーヌ
テナルディエ一家が落ちぶれた影響で、ボロボロの服を着た娘に。
マリウスに秘かに想いを寄せるが、それ故にマリウスが恋に落ちた瞬間に気付いてしまう。
しかも相手は、幼少期を一つ屋根の下で過ごしたコゼット。とても切ない役回りだ。

コゼットとの対比が辛い。

エポニーヌの想いがマリウスに届かないのはただただ悲しい。
まあエポニーヌは、原作ではもっと捻くれた印象だから…。
映画のエポニーヌは普通に良い子に見えるから尚更辛い。
夜の雨の中歌う場面は、この作品の中でも屈指の名シーン。見る度に涙出る。

On My Own」名曲だよね。

 

エポニーヌの死

 

いよいよ革命が始まり、エポニーヌはマリウスを庇って銃弾を受け死ぬ。
不幸な生涯を過ごした彼女だったが、最後に少しだけ報われたような気もする。
彼女につい感情移入してしまった人も結構いるのでは。

 

ジャヴェールへの慈悲

 

スパイとして革命軍に潜り込んだジャヴェールだが、
パリを知り尽くしているガヴローシュのおかげで、警察だとバレて拘束される。

追われる側と追う側だったジャン・ヴァルジャンとジャヴェールの立場が初めて逆転。
ジャン・ヴァルジャンはまさに復讐のチャンス。ジャヴェールも死を覚悟する。
しかし…ジャン・ヴァルジャンは慈悲を与え、逃がす。

ジャン・ヴァルジャンが悪党だと信じ込んでいたジャヴェールは、
ここで初めて己の正義に疑問を投げることになる。

 

ジャヴェールの自殺

 

死にかけのマリウスを担いで下水道を抜けたジャン・ヴァルジャン。
しかし、出口にはジャヴェールが待ち受けていた。思ったより早い再会。
このまま逮捕かと思いきや、ジャヴェールは敢えて見逃す。
それは己の信じてきた正義に背く行為だった。

ジャヴェールは正義こそ神と信じ、その身を捧げてきた。
しかし、悪党であるはずのジャン・ヴァルジャンの善意を受けた彼は…。
何が正義か分からなくなった。思い悩む彼はとうとうセーヌ川へ身を投げる。

彼の人生に愛情というものは一切なかった。正義こそが正しく、彼の生きる道だった。
それを否定されるのは、彼にとっては耐えられなかったのだろう。

上の方にも書いたが、彼だって決して悪人ではない。
愛を知らず、ただひたすら正義を信じてきた憐れな男だ。
結果、彼はセーヌ川に身を投げる事になりグランドフィナーレにも登場しない。
つまり救われていないのだ。

個人的に、ジャヴェールがこの物語で一番不幸だったと思う。
生前はとにかく不幸だったファンティーヌだって、最期には救われた。
エポニーヌだって、ガヴローシュだって、革命で命を落とした者たちだって救われた。
それこそ、壮絶な人生を生きたジャン・ヴァルジャンだって最期は救われたのだ。

それがジャヴェールだけ救われていない。悲しい。

 

結婚、そしてグランドフィナーレ

 

数々の困難をくぐり抜けたマリウスとコゼットは遂に結婚
ジャン・ヴァルジャンはマリウスにだけ真実を告げ、姿を消す。

そして結婚式の日。
どこでも現れるテナルディエ。しぶとい夫婦だ。
ジャン・ヴァルジャンの事をたれ込んで金をせしめるつもりが、
結果的にマリウスの命の恩人だと教えてあげることになる。まさかのネタばらしである。

真実を知ったマリウスは、
コゼットを連れてジャン・ヴァルジャンのもとへ駆けつける。
ちょうどその時、ジャン・ヴァルジャンは孤独な死を迎えようとしていた。
だが、最期の最期で愛するコゼットに会う事が出来た。彼は救われたと思う。

 

 

ジャン・ヴァルジャンの手を引き、天国へと導くファンティーヌ。
扉の先に待ち受けるは司教。ここの司教様は地味に反則だよ…泣くよ…。
そしてラストの民衆の歌。作中で死んだ人たちが爽やかな笑顔で歌う。
思わず熱いものがこみ上げてくる。

上にも書いたが、この場にジャヴェールはいない。
悲しい話だが、苦悩のまま自殺した彼は天国へ行けなかったのだろう。

 

 

この作品のテーマは、ずばりだ。
恋愛的側面もあるが、それだけではない。慈愛の心、父性、母性…。

ジャン・ヴァルジャンは当初憎しみしか知らなかった。
それが司教の慈愛により心を入れ替え、コゼットと出会い真の愛情というものを知る。
まさに一人の男が一生をかけて愛を知る物語と言ってもいい。

また、マリウスとコゼットはこの作品の中で唯一幸せらしい幸せを掴んだ。
彼らの幸せは様々な人に支えられ_愛情を受けて掴んだものだ。

エポニーヌの自己犠牲的献身、ジャン・ヴァルジャンのコゼットへの愛情…。
ジャン・ヴァルジャンのコゼットへの愛は、彼女が愛した男をも助けた。
小さい娘へ、その身を犠牲にしてまで仕送りを続けたファンティーヌの愛だってある。

そんな数々の愛情を受けながら、幸せを掴んだ二人。
二人は今後も互いを愛し、おそらく今後産まれるであろう二人の子供も愛するだろう。
そうやって愛情が伝播していく。希望を感じるラストだ。

 

映画ならではの迫力

セットやオーケストラの豪華さは映画ならではだと思う。
革命のシーンなんか特に圧巻。バリケードの為に窓から家具が投げ込まれるところとか。

この作品においてとても重要なだが、全て生で録ったものらしい。
スタジオで収録したものと違い、俳優達のリアルな息遣いが聞こえてくる。
この映画の魅力の一つだ。

あと場面の切り替わりがいちいちかっこいい。

 

俳優の演技・歌唱力

主演のヒュー・ジャックマンは言うまでもなく。
コゼット役のアマンダ・サイフリッドの小鳥がさえずるような高音も素晴らしかった。
ファンティーヌ役のアン・ハサウェイも素晴らしい。美人だし歌上手すぎる。

エポニーヌ役のサマンサ・バークスもかなり好き。
元々舞台でエポニーヌ役の経験があった彼女だが、
映画はまた違った苦労があったらしい。

ジャヴェール役のラッセル・クロウもとにかく素晴らしかった。
(こんなに歌上手かったんだ!)

あと特筆すべきは、テナルディエ役のサシャ・バロン・コーエン
元々コメディアン俳優らしく、
憎たらしいけど憎みきれないテナルディエの役にピッタリだったと思う。

 

原作小説

映画にしては長い2時間半超。
しかし元々のストーリーが超絶長いので、これでもかなり端折らなければならない。
実際に、原作から考えると結構変わってるし、かなり端折られているなと思う。
(上手く纏まってる方だとは思うが)

映画だけ見てストーリーによく分からない部分があった、
物足りないと感じた人は、ぜひ原作も読んでみてほしい

原作にあって映画にないエピソードは結構ある。

ジャン・ヴァルジャンと幼いコゼットとのあばら家生活、
マリウスとコゼットの公園での恋物語、
マリウス父のポンメルシー大佐とテナルディエの因縁…。
あとはフォーシュルヴァンとジャン・ヴァルジャンの修道院脱出の為の死亡偽装計画か。

気になる人はぜひ読んでみてほしい。ほんとに。

個人的に、原作読むなら岩波少年文庫から出ているものをオススメする。
大人向けの岩波文庫版だと全4巻だが、少年文庫版は上下2巻なので読みやすい。

 

 

大人向けの方はひたすら長いのであまりオススメ出来ない。
しかも、ストーリーと関係ない雑学的な部分で長くなっているのだ。
何も知らずに岩波文庫版を読むと、おそらく最初の司教の説明の下りで挫折すると思う。
(指輪物語で言う、最初にホビットの出自について延々と語ってる感じだ)

少年文庫版ではその雑学部分だけスッパリ省かれているので、
純粋にストーリーだけ追い求めたい人は、少年文庫版で充分事足りるだろう。
ちなみに管理人は子供の頃に少年文庫版を読んで
大人になってから岩波文庫の全4巻を読破したが、まあ辛かった。読み切ったけど。

 

音楽

 

Spotifyでレ・ミゼラブルのサウンドトラックを一通り聴く事が出来る。
ふと聴きたくなった曲を気軽に聴けるいい時代だ。あの感動をもう一度。

 

最後に

 

色々と書いたが、とにかくこの映画は素晴らしい映画だ。紛うことなき名作
管理人も人生の中であと何回かは見る事になるだろう。

絶望的な人生を送った人々が最期には報われ、希望を歌う。
見終わった後の魂が洗われた感覚。自分も精一杯生きねばと勇気を貰う。

「明日は来る!(Tomorrow comes!)」

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